- サービス付き高齢者住宅(以下サ高住)ってなに?
- サ高住って種類があるの?
- サ高住ってどこまで介護してくれるの?
- 患者がサ高住に退院するんだけど、どういう生活になるの?
なぜなら、僕の事業所でもサ高住を運営しており、訪問看護師として様々なサ高住に訪問していることから、その違いと運営の実態を理解しているからです。
記事の前半では、「サ高住の概要」を解説しつつ、記事の後半では、「実際に利用する患者や利用者の生活」を具体的に解説します。
この記事を読み終えることで、「サ高住という施設」が理解できるだけではなく、「患者のサ高住での生活をイメージする能力」が身についた状態になります。
では、解説していきます。
この記事の目次
サービス付き高齢者向け住宅(通称:サ高住)とは
サ高住には、簡単に分けると「一般型」と「介護型」の2つの種類が存在します。
一般型は、ほぼ自立している方が利用される事が多いため、今回は、僕達が関わることの多い「介護型」のサ高住を基本に説明します。
その上で、これらの項目で解説していきます。
- サ高住の登録要件
- サ高住の「介護型」とは
- サ高住は看護師が必要なのか
サ高住の登録要件
サ高住のを名乗って運営するためには、この様な条件を満たしていなければなりません。
- 各専用部分の床面積は、原則25㎡以上
- 各専用部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること
- バリアフリー構造であること
- ケアの専門家※が少なくとも日中建物に常駐し、状況把握サービスと生活相談サービスを提供すること。
※養成研修修了者、社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員、医師、看護師、准看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員
登録要件を簡単に、まとめましたが、総括して言うと「この程度の基準を満たせば、サ高住か開設できる」ということです。
職員の要件としては、見ての通り、難しくありません。サ高住の求人に看護師があるのもこの要件があるからですね。
サ高住の「介護型」とは?
サ高住の介護型とは、要介護認定を受けており、自宅での生活が困難な場合に、日常生活のサポートを受けながら、共同生活をする場となります。
介護型のサ高住に生活する利用者のほとんどは、介護サービスを受けないと生活を継続することが困難であるため、訪問介護や訪問看護を利用しています。
なんで「サービス付き」なのに訪問介護・看護も利用するんだい?
たしかに、そうですね。さては、ボッタクリだな!
いえいえ、そんなことないですよ。
サービス内容は、サ高住によって千差万別です。特養みたいなサ高住もあれば、上記の基準を満たしただけのサ高住もあります。
つまり「サ高住」は、あくまでもアパートという概念になります。そのため、必要に応じて訪問介護やデイサービスなどの介護保険サービスも利用するんですね。
サ高住は看護師が必要なのか?
結論としては、必ず必要というわけではなりません。
確かに、サ高住の要件に看護師もあったけど、別に介護士さんでも良い訳だからな。
看護師さんの給料は他と比べて高いから、わざわざ雇う必要も無いですしね。
その通りですね。しかし、時折、サ高住の求人があります。
このほとんどは、職員要件を満たすためではなく、「介護型」のサ高住で、要介護度の高い利用者が多く入居されているため、その状態管理などの求人です。
少しややこしいのですが、求人によっては、サ高住の職員ではなく、サ高住に配置された訪問看護職員扱いであることあります。
サ高住に求人が気になった場合には、しっかりと内容をしっかりと確認すると良いでしょう。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)はどこまで介護(サービス)をしてくれるのか
このテーマでは、これらの項目で解説していきます。
サ高住のサービスの概念
サービス付き高齢者向け住宅では、これらのサービスを提供しなくてはなりません。
- バリアフリー
- 個室
- 定期的に巡回し安否確認
- 職員に生活相談することが出来る
これらが、サ高住の主なサービスの概念(ベース)です。「一般型」も「介護型」もこれらに違いはありません。
え、結局この程度しか、サ高住ではしてくれないの?
そうですよね。その部分については、下のテーマでまた解説しますが、
さっきの項目の「職員に生活相談することが出来る」というのが、「サ高住がどこまで介護(サービス)してくれるのか」のポイントになるかもしれませんね。
では、次のテーマで解説します。
サ高住のサービスとは
「職員に生活相談することが出来る」というのは、具体的にこれらの仕事が含まれると僕は考えます。
- 日頃の様子を家族と連絡を図る。
- 受診の対応をする。(準備や同行など)
- 服薬の確認をする。(配薬や残薬の確認)
- 他の事業所と円滑に連携を図る。
しかし、これらの項目は、サ高住の義務ではありません。
サ高住の義務ではない上に、これらの項目は、訪問介護や受診同行サービスや訪問看護などの外部サービスで行うことが出来ます。
僕の経験上、上記を行ってくれるサ高住もあれば、全く行わないサ高住もあります。他職種と協力的ではないサ高住もあります…。
この曖昧さが、余計「サ高住」のあり方に疑問や理解が世間に及ばない原因かもしれませんね。
じゃ、サ高住ってなんなんだよ!
という、方のために、サ高住の基本的な捉え方。を解説します。
サ高住はただのアパートと認識が吉
そうです。サ高住は「ただのアパート」であると認識したほうが吉です。
なぜならば、僕のようにこれらを期待していると、
- 日頃の様子を家族と連絡を図る。
- 受診の対応をする。(準備や同行など)
- 服薬の確認をする。(配薬や残薬の確認)
- 他の事業所と円滑に連携を図る。
「介護型」のサ高住でも、入居途中で「これらは出来ません。」と言われてしまえば、それまでだからです。
サ高住での生活が継続できなければ、退居する他ありません。
「定期的に巡回してくれ、簡単な相談をしてくれる、ただのアパートに毛が生えたようなもの」という認識が吉です。(決して悪口ではありません)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)へ退院する患者の生活とは
病棟で働いている看護師からすると、サ高住へ退院した後の生活がイメージしにくいのではないでしょうか?
サ高住は、「アパート」であるという点を踏まえると、様々なサービスを導入していく必要がありますね。そこで、各サービスを簡単に紹介し、解説とします。
- 訪問看護・訪問介護
- 定期巡回随時対応型訪問介護看護
- 通所サービス(デイサービス)
- これらを組み合わせたサービス例
訪問看護・訪問介護のサービス
何度も言うようですが、サ高住は「アパート」であるため、訪問介護だと
- 掃除
- 洗濯
- 食事
- 買い物
など、家事全般に介助(手伝い)が必要な場合は、特養のように施設が随時行う訳ではなく、1日に1回15分〜60分程度の時間の中で家事を行います。
つまり、特養では、入所すれば衣食住の全てを約束されますが、
サ高住では、在宅生活に介助が必要な患者はサービスを導入しないと、生活を維持することができないのです。
定期巡回随時対応型訪問介護看護
普通の訪問介護・看護は1回〇〇分で料金が〇〇円という金額がかかるのですが、定期巡回を簡単に解説すると、
「訪問介護・看護の使いたい放題」です。週に何回も訪問介護・看護を利用しても料金は一律です。
割と最近新設された制度なのですが、僕の担当(利用者)にも定期巡回を利用している方がいらっしゃいます。
特養などが併設しているサ高住などに使われることが多いです。
サ高住に退院する患者が定期巡回を利用する。となれば、通常よりも手厚いサービスを受けることができるため少しは安心できるかもしれません。
通所サービス(デイサービス)
デイサービスを利用する理由として
- 日中一人で生活する時間帯を減らしたい
- 入浴の介助をしてもらいたい
- 他者との関わりを増やしたい
など、様々な理由が存在するでしょう。
看護師は常駐しているため、デイサービスによっては、医療度の高い利用者さんを引き受けてくれるところもあります。
イメージとしては、最大朝から夕方前までの利用が可能なので、日中に一人で生活するのが困難である場合には利用するのが有効でしょう。