- 訪問看護師は、経験がないと出来ないって聞いたけど?
- 訪問看護ステーションに違いってあるの?
- どんな訪問看護ステーションを選べばいいの?
なぜなら、これから紹介する記事では、臨床経験が3年間で「出来ない看護師」だった僕が、訪問看護に飛び込んだことで、経験や学びを身につけることが出来たからです。
そんな僕が、訪問看護を同期や後輩に勧めると、
「自分1人で訪問するなんてなにかあったら怖い。」
「まだ病棟での経験少ないからついていけないかも」
「ベテラン看護師が行き着くところですよね?」
僕の時代でもこんな言葉が聞かれていましたし、中堅世代の僕の同期にも訪問看護師をやっている看護師はまだ少ないのが現実です。
しかし、今までの常識よりも、なんなら
訪問看護師を新卒で採用しよう!
こんな働きや、日本訪問看護財団などのバックアップが、みられています。
この記事の前半では、「経験がなくても訪問看護ができるのか」について解説しつつ、記事の後半では、「経験の浅い看護師はどの訪問看護ステーションを選べば良いのか」を具体的に、僕の持論と経験を含めて解説します。
僕の結論から言うと、学ぶ順番が違うだけで、病棟で十分に経験を積まないと、訪問看護師ができないなんて事はありません。
では、解説していきます。
この記事の目次
経験がなくても訪問看護師になれる?
- 【迷信】訪問看護無理説は、運営側の責任?
- 経験がないと訪問看護師は出来ないは、間違い?
- 実際、未経験と新卒看護師は厳しい?
- 新卒看護師は今がチャンス?
これらの項目で解説していきます。
【迷信】訪問看護無理説は、運営側の責任?
間違いです。では、なぜそんな迷信が出回っているのかを僕が運営側からの観点で解説します。
訪問看護は、病院(病棟)に比べて、まだ未発達で未熟な分野です。様々なシステムや方針が定まっていない現状が往々に垣間見えます。
また、訪問看護は実際に、様々な分野を扱う統合的な分野であるため、経験値が高い看護師が有利になります。
その、未発達で木熟な訪問看護では、新卒看護師や経験値の浅い看護師を受け入れる体制が整っていないため
- 未経験
- 新卒
- 経験が浅い
これら「新卒看護師・未経験」看護師は訪問看護無理説が出回っていると解釈しています。
これは、実際にこれらの看護師が訪問看護師として働くことが出来ないのではなく、運営側が取り扱うことが出来ないだけで、
体制が整っていれば、これら看護師でも訪問看護師として働くことは可能なのです。
看護師としての経験ないとできない…は、間違い?
では、システム的な問題で、訪問看護師は経験がないと出来ない。と言った間違いを、昔と今の看護業界を簡単に比較して解説します。
今までは、訪問看護育成マニュアルに書いてあるように
これまで訪問看護師の確保は、30・40歳代の臨床経験の豊富な看護職が主に採用されており、病棟勤務の経験がある看護職が訪問看護を担うのがよりよいという考え方が一般的でありました。そしてベースがある上で育成されながら業務に携わるというやり方でした。看護学生に対しても病棟勤務の経験を経て訪問看護に従事することを勧めてきていました。
訪問看護師協会育成マニュアルより
これこそ、「新卒看護師は訪問看護師無理説」の根源かもしれません。
しかし、現状の国の方針として、医療は病院完結型から地域完結型へシフトし、介護と一 体となった地域ケアシステムづくりがすすめられています。
それに伴って、「新卒看護師は訪問看護師無理説」と唱える根源であった訪問看護師協会も下記の通り、
しかし、昨今の訪問看護師不足の中、看護師をめざす若者については、新卒看護師であっても体制を整備すれば、訪問看護師の育成は十分に可能ではないかという考えのもとに、新卒訪問看護師育成への取り組みが各地で始まっています。
訪問看護師協会育成マニュアルより
実際に、新卒の訪問看護師は全国で増加傾向です。
つまり、新卒で訪問看護師を受け入れる体制が整い始めていると考えられます。
そう考えると、単純に新卒受け入れが出来ている訪問看護では、臨床3年でも訪問看護してとして安心して働くことは出来るのではないでしょうか?
実際、未経験や新卒は厳しいんじゃない?
僕の意見としては、実際に厳しいと思います。しかし、その厳しさは、病棟も同じであり、訪問看護師だから特別という理解であります。
問題点としては、経験の浅い看護師(新卒看護師も含む)が訪問看護として働くと、「浅く広い知識」になってしまう。という問題があります。
しかし、その部分については、看護協会も積極的に講義や勉強会も開いており、何万円もする研修も無料で行ってくれる看護協会もあります。
これらは、経験の浅い看護師や新卒看護師の育成のためのバックアップとして看護協会が活動しています。
訪問看護師のための支援体制は探すと、驚くほどたくさんあります。病棟でしかできないことはもちろんありますが、訪問でしか経験できない事もたくさんあります。
訪問看護師だとしても、研修や講義・勉強会でいくらでもスキルは補えます。
なので僕は、「訪問看護をやりたい!」って気持ちを素直に行動に移していってもらいたいですね。
そして、ぜひ未経験や新卒の訪問看護師として周りに語る側の看護師になってもらいたいです。
新卒は今がチャンス?
新卒となる今の時代の看護学生は訪問看護師に新卒採用してもうには今がチャンスかもしれません。
何故かと言うと、日本看護協会が前述したように地域医療にシフトチェンジしていっている時代の流れで、
訪問看護師の不足を改善させるために新卒の看護師育成のプロジェクトを始めています。
新卒看護師を訪問看護ステーションが採用した際に助成金を上げる仕組みを作りました。新卒の訪問看護師希望者は歓迎されるはずです。
あなたの訪問看護師になりたい気持ちを熱く伝えましょう。必ず伝わるはずです。
同じ訪問看護師でもやることが違う?
ここでは、訪問看護師の違いを「社会福祉法人(株式会社)」と「病院」に分けて解説します。
- 病院の訪問看護ステーションとは?
- 社会福祉法人の訪問看護ステーションとは?
看護師としての経験年数は関係なく、転職に訪問看護師を選択に入れている人は参考にして頂ければと思います。
あくまでも、総合的な「傾向」となります。転職の際はしっかりと仕事内容を確認して下さい。
病院の訪問看護ステーションとは?
病院が運営する訪問看護ステーションのことを指します。
基本的に病院が行っている訪問看護師テーションは、管理業務をする専門の看護師が在中しており、
そこに欠員が出ても病院から管理業務ができる管理職の看護師が補充される事がほとんどです。
そのため、スタッフは訪問看護師としての看護業務を集中して行うことが出来ます。
実地指導の対策や加算管理や請求業務など行うことはほとんどありません。つまり、管理業務をすることは無い所がほとんどです。
管理者が(看護師)すべてを行うため患者さんのことに集中して業務を行うことができます。これはとてもメリットな部分になるでしょう。
看護師たるもの患者さんのために患者さんにできることを自分の持てる最大限の知識や想いをぶつけるだけのフィールドが整っている場合が多いです。
現場主義の看護師さんにとっては病院の訪問看護ステーションはおすすめできると考えられるでしょう。
- 管理業務を管理者が行ってくれる。
- 看護師は、業務に集中することが出来る。
- 管理者に欠員が出ても補充されやすい。
社会福祉法人の訪問看護ステーションとは?
社会福祉法人(特養・デイサービスなどの介護業界)が運営する訪問看護ステーションのことを指します。
社会福祉法人が経営している訪問看護師テーションは、バックボーンに病院がないため、利用者を獲得するのにとても困難を極めます。
また、管理者が退職すると代わりの管理者が補充されることは少ないため、スタッフ一人ひとりが管理業務も把握しながら仕事を回していかなくてはなりません。
そして、社会福祉法人が経営している訪問看護師テーションは、利益を追求し、運営しているため、売上に関してとてもシビアであることが多いです。
病院運営の訪問看護ステーションもその点は同様ですが、スタッフレベルにまで管理や人事や経営に関して把握が行き渡っているのが特徴です。
つまり、患者さんのことだけではなく、ステーションのことや人事、事業所も事まで考えて仕事をしていく必要があるところも少なくはありません。
将来訪問看護ステーションを立ち上げたいと思っている看護師は、社会福祉法人が運営している、訪問看護ステーションへの就職をおすすめします。
- 利用者獲得が極めて困難
- スタッフが管理業務も把握することが多い。
- 将来訪問看護ステーションを立ち上げたい看護師は圧倒的におすすめ
ちなみに僕が所属してる訪問看護ステーションは社会福祉法人が運営しています。参考までにどうぞ。
病院?福祉?どちらの訪問看護STを選べばいいの?
- 新卒看護師が選ぶべき職場は?
- 看護経験のある看護師が選ぶべき職場は?
- 病院のST→社福のSTへ来た看護師さんの感想
ここでは、この項目に別けて解説していきます。
新卒看護師が選ぶべき職場先は?
新卒看護師は、病院運営の訪問看護ステーションへの就職をオススメします。
なぜなら、管理体制がしっかりと構築されており、管理や算定などの余計な事を考えず、患者に集中できる病院での訪問看護ステーションが良いかもしれません。
社会福祉法人や個人の訪問看護ステーションにも、とても素晴らしい事業所ももちろんありますが、
経営者や管理者によって体制や制度・クオリティにムラが病院併設のステーションに比べると見られるかもありません。
看護師経験のある新人訪問看護師が選ぶべき職場は?
病棟経験がある程度ある看護師さんに関しては、正解はありません。
上記を参考にした上で、自分がどのように働きたいか。そこに尽きるかと思います。
経験上の話をしますと、私は訪問看護師として経験がない状態で社会福祉法人の経営する訪問看護ステーションに縁あってお世話になりました。
訪問看護ステーションの管理状態は、お世辞でも素晴らしいものとは言えず、マニュアルもカルテも全てに関して、見直しが必要な状態でありました。
そのため、僕は管理者ではなかったのですが、その他のスタッフと協力しカルテの作成から規則や患者訪問時間の調整・監査の対策など全てを行っていきました。
僕は、もともと経営思考であったため、スタッフ一人ひとりが、管理業務や人事や運営について携われた現在の働き方は向いていたと言えるでしょう。
病院の訪問看護ST→社福の訪問看護STへ来た看護師さんの感想
僕のSTのスタッフの中には、病院の訪問看護ステーションで働いていた看護師さんがいます。
その看護師さんからは、分業制でない私達の訪問看護ステーションを通して、
- 「今まで上司に命令されて行って来た業務の意味が理解できた。」
- 「自ら進んで業務を行わないと回らないから、やりがいがある」
などの言葉が聞かれました。
言われたことを行うだけではなく、自分で考え、行動する。そんな自分の采配や行動が許される職場で力を発揮する看護師さんもいます。
職場の良し悪しは、一概には言えません。自分にあうか合わないか。その点が一番重要です。
自分の特性や思いをしっかりと整理した上で、今回の内容を参考にして頂ければと思います。
まとめ
- 新卒看護師訪問看護無理説は嘘
- 臨床経験が浅くても訪問看護師は出来る。
- 訪問看護ステーションでも、病院・社福運営のSTに違いがある。
- 看護を集中してやりたい看護師は、病院の訪問看護ステーション
- 管理や運営も行いながら、自由に働きたい場合は、社会福祉法人の訪問看護ステーション
僕は、「出来ない看護師」のレッテルを貼られていながら臨床経験3年で、訪問看護へ飛び込みました。
勇気を持って飛び込んだ事で、様々な経験と、自信と、学びを得ることが出来ました。
団塊の世代が、高齢化することにより、訪問看護師はいよいよ、本格的に必要となってきます。
また、地域医療にシフトチェンジをしている昨今に、少しでも訪問看護師さんが増えればと思います。
ぜひ、素晴らしき訪問看護の世界へ来て下さい。以上